

上棟の時などに家を建てるのに使用する木材が濡れても問題無いの?
湿気によって腐ったりしない?
今回はこのような不安を解決します。
家を建てる時に雨が降っていると構造用の木材が雨に打たれて、その水が木材に染み込んで建てた後で腐ったりしないか心配ですよね。
上棟日などは雨が降らないタイミングを狙って行われますが、それでも不測の事態が発生することもあります。
そこで今回は一条工務店で使用している木材の話をするとともに、もし雨が降った場合に木材にどのような影響があるのかについて説明します。
この記事を読み終わると、工事時の雨に対する不安は軽減されますよ。
一条工務店で使用されている木材について
雨濡れの際の一条工務店の対応について
使用している木材について


結論から言うと、一条工務店で使用している木材が雨に濡れることによる影響はほぼありません。
というのも、一条工務店は住宅に使用する木材に特殊な加工を施しているため雨に非常に強い木材となっているからです。
基本的に木材は水に強いという特徴を持ちます。
その上で防腐加工などの処理を木材に施しているため雨などの水による影響はほとんど無いと言ってもいいです。
しかし、実際にどの程度水に強い木材を使用しているのかが分からないですよね?
そこで一条工務店で使用している木材の3つの特徴を挙げてどの程度水に強いのか説明を行います。
次に一条工務店で使用されている木材に施されているこれらの技術的な特徴について説明します。
① 乾燥材の使用

【木材は乾燥させてから使用する】というのは家づくりのみではなく、モノづくりにおける原則です。
一条工務店のみだけでなく、多くのハウスメーカーも同様に十分に乾燥を行った乾燥材を使用しています。
一条工務店で使用される木材は山から切り出した後に十分に乾燥させたものを使用します。
伐採した木材を屋外にて約3ヶ月間天然乾燥させ、その後強制的に人工乾燥させます。
一度乾燥させた木材は雨などの外部からの水では木材の芯まで濡れることはありません。
また乾燥をしっかりと行った木材ほど曲げや割れに強い木材となり、建築後のねじれや歪みの心配が無くなります。
どの程度水に強い木材なのかを一条工務店は1本1本チェックし規定に満たない木材に関しては再度乾燥させます。
このときに注目される数値が【含水率】。
含水率の値が規定に満たない木材は使用されないので安心してくださいね。

本当に規定を満たした木材を使用しているの?
含水率の規定ってどの程度なの?
このような疑問が湧き上がってくるかと思いますのでこれについても簡単に説明します。
含水率の規定の話をする上でJAS規格についてまず知る必要があります。
一条工務店でもJAS規格に適合するようにアイスマートなどの2×4工法(枠組壁工法)の場合は含水率が19%以下の乾燥材を使用しています。
なぜ、2×4工法の方が軸組工法よりも含水率が低いのかについては別記事で紹介します。
一般的な杉の未乾燥材は含水率が80%程度あるといわれています。
乾燥の過程を経ることで含水率を20%以下に抑えます。
含水率が20%以下の乾燥材は伐採後の未乾燥材と比較して2割程度強度が上がるといわれています。
一条工務店の木材は含水率が低い木材を使用しているのは説明しましたが、実際に含水率が低い木材を使用しているのかどうかは正直工事監督や現場の人達しか分かりません(現場の人もどこまで理解しているのかは分かりませんが…)。
つまり、私達施主は一条工務店の提示する情報を鵜呑みにする他ありません。
含水率は『木材水分計』と呼ばれるポータブル機器で自分自身で測定を行うことができますが、これについてはオススメしません。
というのも、測るタイミング(雨の後など)によっては含水率が高く表示されることがあるためです。
盲目に施主である私達自身は一条工務店の情報を信じるしかないですが、これまでの建築実績や企業規模からその点の虚偽報告は考えなくていいと思います。
② JAS認定の構造用合板の使用

合板とは丸太をかつら剥きにした薄い板を接着剤で貼り合せた板のことをいいます。
その合板の中でも構造用合板は建物の構造上、重要な部分に使用する合板のことを指します。

一条工務店の構造用合板はベニヤ板の向きを交互に接着しています。合板の厚さは12mmあります。
JAS規格では厚さ9mm、12mm、15mmが主流となっています。
合板の板面の品質は9つに分類され、アルファベット2文字によって示されます。
また規定される強度試験の種類によって1級と2級があります。
さらに接着剤の等級によって特類と1類があります。
一条工務店の住宅の外壁や床に使用される構造用合板にはJAS規格の認定を受けた合板を使用しています。
JAS規格で認定を受けた合板はJAS認定事業者によって製造されているので、JAS規格に適合する木材というのは非常に信頼性の高いといえます。
JAS規格の認定を受けた構造用合板の中でも一条工務店は【特類】という認定を受けた構造用合板を使用しています。
ここでいう【特類】は上記で説明したように接着剤の等級のことを指します。
ここで伝えたいことは特類を使用している一条工務店がスゴイ!ということではありません。
一条工務店のみが特類の合板を使用しているわけではなく、他のハウスメーカーでも特類の合板は多く使用されています。

それで特類の合板は何がどうすごいの?
それでは、特類の合板はどのような部分で優れているのかについて説明します。

特類について知るためにはJASマークについて知っておく必要があります。
JASマークには構造用合板の性能や等級など全ての情報が記載されています。
つまり構造用合板に書かれたJASマークを確認すれば、一条工務店が使用している木材が一目瞭然というわけです。
特類は接着剤の等級(特類と1類がある)であることは前述しています。
特類の接着剤はとにかく水に強いことが特徴。
特類の構造用合板は【常時湿潤状態における接着耐久性が確保されている】ことが決められているためです。
その特徴上、外壁や屋根の下地材に用いられることが多いです
一方で1類の構造用合板は【通常の状態における接着耐久性が確保されていること】が決められています。
1類は特類と比較して耐水性能は落ちるというわけです。
ですので、防水紙等で防水処理を施した外壁・屋根、間仕切壁、床の下地板に用います。
特類と1類の接着剤の耐久性は試験によって評価されます。
下記にその方法について紹介します。
接着耐久性評価方法
促進劣化処理を施した後、接着強度や木部破断率を確かめることで行われる。
特類の劣化処理は、試験片を72時間煮沸すること、または、室温水中に1時間
浸漬することをはさみ、130℃で2時間スチーミングすることを2度繰り返すもので、全ての単板が針葉樹の合板では、0.085MPa以上の減圧を30分間行った後、0.45-0.48MPaの加圧を30分間行う方法も取られる。いずれの処理も過酷な条件である。
また、1類の接着耐久性試験も、試験片を60℃で20時間乾燥することをはさんで、4時間の煮沸を2度にわたって繰り返すか、120℃で3時間スチーミングするという厳しい方法である。
一条工務店から配布される資料(工事に関するQ&A No.2)の特類の説明で「熱湯で72時間煮沸しても大丈夫な、完全耐水性を有する合板です」というのは、特類の耐久性評価に合格したことを表しています。

特類の構造用合板は水に強い接着剤で貼り合せてあるため、水に触れる環境下でも合板の剥離が起きにくいというメリットがあります。
仮に構造用合板の剥離が起きると、住宅全体の【耐力の低下】につながり、剥離した合板の壁は耐力壁としての役割を果たさなくなる可能性があります。
簡単にいうと合板が剥離した住宅は欠陥住宅といえます。
一条工務店の構造用合板はホルムアルデヒド放散量についても最上位等級のF☆☆☆☆を使用していますが、こちらについての説明は別記事で行います。
③ 防腐防蟻処理

土台や柱に使われる柱には高性能で安全性の高い薬液(ACQ)の加圧注入処理を施しています。
それによって木材が腐りにくくなり、シロアリに高い効果を発揮します。
まずはACQについて簡単に紹介。
ACQは人体にも影響が少なく、環境にも優しい薬液です。
一条工務店はACQ注入後の乾燥杉材を用いて散水実験を行っているので、そちらについても簡単に説明します。
乾燥木材の再乾燥実証実験
ACQ加圧注入後の杉柱乾燥木材に3時間連続して散水した後に、日陰に木材を放置し含水率がどのように変化するのかを検証しました。
散水直後 | 24時間後 | |
---|---|---|
木材表面の含水率 | 39% | 18% |
木材内部の含水率 | 20% | 18% |
結果的には散水後24時間後には木材表面・内部どちらとも含水率は18%まで下がることを実験で確認しています。
結果より乾燥木材の内部には水分はほとんど浸透せず木材表面に留まり、表面付近に留まった水分も1日で乾燥することが分かりました。
この実験から雨が降ってもしっかりと木材を乾燥させれば問題なく使えるということが分かります。
【まとめ】一条工務店が使用している木材について

今回は一条工務店で使用している木材の特徴について説明を行いました。
一条工務店は水に強い構造用合板を使用していたり、柱には薬液を注入することでシロアリに強い柱に加工したりと、水や腐れの影響を受けにくいように企業努力をしています。
しかし施主である私達自身はいくら水に強い木材を使用していようが、上棟時や工事時に雨が降るのは避けたいです。
技術的にどれだけ水に強いとはいってもやはり不安が残ります。
雨が降った時にブルーシートで建物を養生することから、現場の人達も少なからず水が住宅に悪影響を及ぼすことは理解していることと思います。
しかし、タイミングによっては雨や雪は避けられないのも事実です。
雨によって構造用合板が剥離してしまったケースも拝見したことがあります(もちろんその合板は新品に交換されています)。
雨が降った後に重要視されるのは【一条工務店が水に強い木材を使用している】という事実ではなく、【雨が降った後にどのような現象が住宅に起きて、どのような対応を行った】のかです。
住宅に変化が起きていなければ特に対応が必要であるとは思いませんが、もし構造用合板の剥離であったり、基礎の下に水たまりができていたりなどの場合はやはり施主側としては対応をして欲しいものです。
雨や雪などの天候はどうにも操作できないですが、雨が降った後の対応は一条工務店側でどのようにもできます(良いようにも悪いようにも)。
今回の記事では一条工務店で使用している木材がどの程度水に強いかを書きましたが、あくまで技術的な面を取り上げたのみです。
技術的には木材に及ぼす水分による影響はほとんどありません。
どうにか上棟時に雨よ降らないでと願い、今回の記事を終わります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
一条工務店について他にもいろいろ紹介しているので、参考にしてみてください。
コメント
[…] 特類についての詳細は下記記事を参考にしてみてください。参考:雨に濡れても大丈夫?一条工務店が使用している木材について […]