
今回紹介するのは、事故物件住みます芸人の松原タニシさんによって書かれた「事故物件怪談 恐い間取り」です。
真っ黒な本の装丁に、真っ赤な帯が余計に恐さを助長している本作ですが、松原さんが実際に体験した事故物件での体験談や、事故物件に住んでいる方を取材したときの話、心霊スポットでの出来事を紹介しています。
本作は実際の事故物件を間取り付きで紹介しているので、やけに生々しくて”いい意味で”後味が悪いです。
3~4ページでサクッと読める短編が49編収録されているので、色々な形の恐さを感じることができます。

本作はノンフィクションという特性上、「これで終わり…?」となるような物語もあります。
恐がらせようとする”怪談”という形ではなく、ありのままの体験を届ける、ただそれが”怪談”になってしまっているという形だからこそ、物語にリアリティがあります。
物語一つ一つに鮮度があります。
本記事では「恐い間取り」で特に印象に残った話を中心に記事にまとめています。
「恐い間取り」の本の内容と読んだ感想
「恐い間取り」で特に怖かった話

私が「恐い間取り」を読んで、特に怖かった話のあらすじをまとめました。
井川さんの部屋
井川さんはライブハウスの店長で、一度松原さんをイベント後に家に泊めたことがあるのがきっかけで、今でも交流があります。
井川さんの住む物件はどうやら”訳あり物件”が多いようで、一軒目は1K八帖、水道・電気代込みで家賃3万円。
一軒目の物件は前居住者が夜逃げをしたという物件。荷物も全部置いた状態で夜逃げし、夜逃げした理由は分からないらしい。
二軒目は1K八帖、水道・電気代込みで家賃3万2千円。
この物件は5階のある部屋で老人が孤独死したという物件。井川さんの部屋は7階であるため、直接的な事故物件というわけではないようです。
井川さんは年末年始に実家に帰省し、1月3日に家に戻るとインターホンに付いた赤いランプがチカチカと点滅していることに気付きます。
井川さんの部屋のインターホンは押した瞬間にカメラに映った来訪者を映像に録画するという機能を持っており、赤いランプの点滅は留守中に誰かがインターホンを押し、映像が録画されたことを表しています。
残された映像を確認すると、大晦日から元旦の朝にかけてのもので”見たこともない老人”の姿が映っていました。
頭はスキンヘッドでトレーナーを着用した老人。ただ目が真っ黒に窪んでいました。
後から分かった話ですが、井川さんの部屋だけ鍵がダイヤルロック式で厳重になっており、インターホンにカメラがついているのも井川さんの部屋だけでした。
と、ここで物語は終わります。
孤独死した老人と井川さんの部屋を訪れた老人がリンクして、嫌な感じだなぁと思います。
また、井川さんの部屋だけインターホンにカメラがついていて、鍵がダイヤルロック式になっているという後付情報も「想像は任せるよ」と読者の私達側にどのように解釈するかを委ねている部分もズルい部分です。
実は私がまだ書いていない部分で、この物語を私の中で「一番怖い」と言わしめる要素が実は残っています。
それがこの「恐い間取り」がノンフィクションであることの生々しさを感じる部分であり、だからこその恐さを感じる部分です。
”ノンフィクションの真骨頂”と言えます。
それは実際にインターホンに映った老人の画像が写真として本書に載っています。
”スキンヘッドでトレーナーを着た、目が真っ黒に窪んだ老人”
この人が果たして孤独死を遂げた老人かどうかは定かではないが、人ならざるものではない雰囲気がありました。
これは実際に本書を手にして確認して欲しいです。
霊的な物の存在を信じた瞬間

ここからは私の体験した話になります。
実は私は霊的なものの存在なんて信じていませんでした。
しかし、あることをきっかけに「もしかしたら」なんて思うようになりました。
今回はそんなことを感じたときのエピソードになります。
雄島で聞いた笑い声
アンビリーバボーでも取り上げられたことがある福井の心霊スポット「雄島」。
福井県に住む人なら一度は訪れたことがある場所ですし、心霊スポットであることも有名です。
自殺の名所である「東尋坊」の東側に位置する「雄島」は、海流の関係で「東尋坊」で身を投げた遺体が流れ着く島としても知られています。
そんな「雄島」ですが、いくつかのルールが存在します。
- 雄島を反時計回りに回ること
- 雄島橋で引き返すこと
そんな福井県内では圧倒的な知名度を誇る心霊スポット「雄島」。
私も何度か夜中に行きました。
免許を取って間もないころ車でどこでも行けるのが楽しくて、「東尋坊」や「雄島」などの心霊スポットへ行くことが定番化していました。
しかし、もう二度と「雄島」に行きたくないと思う出来事が起こります。
「雄島」へは雄島橋という真っ赤な橋を渡らないと「雄島」へ行くことができません。
その雄島橋の手前には「雄島」の全景図をイラスト化した看板が立っているのです。
私は5人グループで「雄島」に行ったのですが、やはり集団でも夜中に雄島橋を渡ることは怖く、看板前で躊躇していました。
どうしようかと5人で騒いでいるときにその声は聞こえました。
「キャキャ」という甲高い子どもの笑い声。男の子と女の子の笑い声でした。
脳に直接入ってくるような、それくらい鮮明に聞こえました。
時間にして1秒もなかったと思います。
私は一目散に「雄島」とは逆方向に駆けました。それと同時に一緒にいた友人も私と同じ方向に走り出しました。
その時の集団心理として、誰かが走ると一緒になって走るという、目には見えない何かから逃げるという心理が働いて、私が走ったから他の4人も走ったんだと思っていました。
しかし、100mほど走った後の私以外の表情からは「俺も笑い声聞こえたぞ」という無言の意思表示が聞こえてきました。
声が聞こえた方向も笑い声の種類も同じで、「公衆トイレの方から子どもの笑い声」と私達の意見が一致しました。
それ以来、夜中に「雄島」へ近づくこと、心霊スポットへ行くことをやめました。
まとめ:「恐い間取り」を読んで

事故物件住みます芸人の松原タニシさんによって書かれた本書。
恐がらせようとする”怪談”という形ではなく、ありのままの体験を届ける、ただそれが”怪談”になってしまっているという形だからこそ、物語にリアリティがあります。
実体験だからこそ明らかにされない・できない部分もあり、読者にその後どうなったかを委ねるという部分も良かったです。
読後感は何だか不安な気持ちになります。これが”恐怖”という感情だと感じることができます。
実は今回紹介した「恐い間取り」ですが、2作目が6月に刊行されます。
また、KAT-TUNの亀梨さんが主演で映画もやるみたいです。
Kindle版なら定価より安く購入できますよ。
事故物件について
事故物件の定義を皆さんご存知ですか?
”事故物件”とは広義には不動産取引や賃貸借契約の対象となる土地・建物や、アパート・マンションなどのうち、その物件の本体部分もしくは共用部分のいずれかにおいて、何らかの原因で前居住者が死亡した経歴のあるものをいう。
ただし、死亡原因によって事故物件と呼ばないものもあるなど、判断基準は明確に定まってはいない。
事故物件で肝となるのが”前居住者が死亡した経歴のあるもの”を指すのです。
つまり、その後に誰かが一度住んでしまえば”事故物件”だった物件は”無事故物件=普通の物件”として売り出されます。
皆さんも知らず知らずのうちに事故物件へと誘われているかもしれませんね。

「恐い間取り」2作目は楽しみですね。
「恐い間取り」に興味がわいた人はぜひ!
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